ナイルの向こう側

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【ポケモン】第7世代サンムーン振り返り

ポケモンにおける一時代が終わりを迎えようとしている。新作ソード・シールド発売まで1週間を切った。そこで、第7世代にあたるサンムーンを振り返ってみようと思う。

 ポケモン20周年

2016年11月18日に発売されたのが『ポケットモンスターサンムーン』(以下SM)である。
そして、2016年はポケットモンスターシリーズが20周年を迎えた年でもある。その内容についても四つの島を舞台としたマップ、ジムの廃止などこれまでとは変わった設定の多い異色作と言える。大きな節目の年に発売された作品だからか挑戦的な内容に仕上がっている。

「島」ならではの世界観

SMの舞台"アローラ地方"はメレメレ島・アーカラ島・ウラウラ島・ポニ島の4つの島から構成され、それぞれに『土地神ポケモン』がいる。カプ・コケコカプ・テテフカプ・ブルルカプ・レヒレだ。*1島民は11歳になると"しまめぐり"に挑戦する権利が与えられる。これが従来におけるジムの役割のようになっている。だが、意味合い的なジムとの違いは、信仰と伝統によるものであるというところ。いわゆる神と呼ばれ畏れられるポケモンは過去作でも存在したが、地方全体に宗教として根付いていることはなかった。*2悪の組織スカル団はしまめぐりの脱落者集団。伝統に振り回された挙句、信仰を失い神にも社会にも見放されてしまった、宗教社会における闇の部分の写しとも言える。

ウルトラビーストZワザ

ウルトラビースト(以下UB)は、異空間からやってきた謎の存在で姿も他のポケモンと比べてどこか異形である。島という閉鎖的な空間に対するアクセントとして存在感を際立たせている。発売前はあらゆる危害をもたらす脅威として紹介されていたUBだが、実はかけがえのない恩恵をもたらす存在であったことが後に明らかとなった。それがソルガレオルナアーラ、そしてネクロズマである。ソルガレオルナアーラはソフトのパッケージを飾る伝説のポケモンでUBでもある。彼らは太陽と月の化身でアローラの創世神話に大きく関わったとされている。ネクロズマソルガレオルナアーラのどちらかを取り込んで真の姿を取り戻すとかがやきさまともウルトラネクロズマとも呼ばれる光り輝くドラゴンとなる。全身から非常に強い光を放ち、UBの世界は疎かアローラまでをもその光で照らし、Zワザの源となるZパワーを授けてくれる。アローラ島民はその事実を知らないため信仰の対象にはなっていないものの、カプと同等かそれ以上に重要な存在であることは確かである。

かがやきさまの光のおかげで放つことができるのがZワザなわけだが、システム的な意味合いとしては前作のメガシンカ*3にあたる要素と言える。一部のポケモンに限られるところが問題視されたためかZワザは全てのポケモンに対応している。全ポケモンが使えると言えば平等に聞こえるのだが、強いポケモンが使えばさらなる脅威として働くため、弱キャラ救済要素ではない。実際、強キャラが不利な対面を強引に突破するために使われることが多かった。

アニメについて

世代交代ごとにタイトルと舞台が一新されるおなじみアニポケについても感想を交えて少しだけ。今作のアニメは非常に物語の完成度が高かったと感じている。登場人物が多い中で各キャラの成長やエピソードは丁寧に描かれており、終盤の展開はこれまでにないほどの盛り上がりを見せた。全体を見るとゲームのストーリーを踏襲していて、過去作でよくあった伏線放置や謎エピソード*4などはあまり見当たらない。というのもマーシャドーが一瞬登場したきり出てこなかったり荒廃した未来のアローラが本編の世界とどう繋がっているのかはっきりしなかったりなど少なからず見られたからだ。作画や時折炸裂する顔芸には賛否あったようだが、筆者は賛より。

次回作への期待

新作の情報も徐々に公開され期待が高まるばかりだが、筆者はイギリスがモチーフの世界観がどう活かされていくのか楽しみである。新要素のダイマックスが物語とどう絡んでいくのか対戦に及ぼす影響とは。そして、まだ見ぬポケモンとの出会いが待ち遠しい。

*1:これらのポケモンアローラ地方のモデルなったハワイの神話に登場する神々がデザインモチーフらしい。

*2:ジョウトではエンジュシティにホウオウの伝承が残っていたり、シンオウではミオシティの図書館に時空伝説についての文献があるなど狭い界隈での伝承あるいは過ぎ去った信仰というケースが多かった

*3:専用のメガストーンをポケモンに持たせることでバトル中に一度だけ強化形態になることができるシステム

*4:後への布石かと思ったら特に何もなかったみたいなの