【ポケモン剣盾考察】eスポーツからポケモン対戦の未来を読み解く
ウォルト・ディズニーの言葉に
現状維持では衰退するばかりである
というものがある。
変化の激しいこの時代、先を見据えた行動が発展の鍵になる。
このままではポケモン対戦が危ない!
ポケモンは来年で25周年を迎える。
対戦はポケモンの花型ともいえる人気のコンテンツだ。
2010年にブラック・ホワイトが発売された頃、ニコニコ動画やYoutubeに対戦動画をアップロードするユーザーが増え、対戦がブームになったのは記憶に新しい。
しかし、あなたは知っているだろうか…
ポケモン対戦の奥深さを…
ポケモン対戦は現状、非常にマニアックな世界と言える。
勝つためには3値*1と呼ばれる隠しステータスの存在を把握していなければならない。
その存在は初代赤緑の時代から認知されており、コアプレイヤーの間で研究がなされて今日に至る。
現在では、3値を割り出すツールがネットを探せばすぐ見つかるため、誰でも簡単にその深淵を覗くことができる。
これもプレイヤーたちの研究の賜物なのだ。
ここまでプレイヤー間に広く認知されているにもかかわらず、メーカー側は存在をほのめかす程度で収まっている。
これこそが対戦がマニアックになっていく原因だと考えている。
なぜメーカーは3値を公にしないのか?
それは、公にするメリットがないからだ。
メーカーは対戦の競技性をあまり重視しない方向でゲームを作ってきた。
その功罪をこれから解説していく。
少なすぎる対戦人口
第7世代(ポケモンサン・ムーン)対戦人口は全プレイヤー中の1割りにも満たないと言われている。
ポケモンバトルデータベースによるとこのようなデータが出ている。
US・UMリーグ シーズン18 シングルバトル (2019/11/26 - 2020/2/25)現在のレート人口: 18,690人
ポケモンウルトラサン/ムーン攻略まとめWikiによると初週の売り上げが120万本、2020年3月時点での前作サン・ムーンも含めた売り上げは1618万本*2となっている。
よって最終的なレート人口の割合は、わずか0.2%という結果になった。
ちなみにダブルバトルの人口はさらに悲惨で、なんと2243人*3である。
US・UMリーグ シーズン18 ダブルバトル (2019/11/26 - 2020/2/25)現在のレート人口: 2,243人
このレベルの人数でも世界大会が毎年開催されているのは驚きである。
世界大会のレギュレーションは毎年細かく変わるのだが、基本はダブルバトルで行われている。
ゲームの世界大会は2010年が初回だが、当時から一貫してダブルバトルである。
データからわかるようにダブルはシングルと比べてマイナーだ。
にもかかわらず公式ルールとしてダブルが採用されているのは不可解でしかない。
これも対戦が敬遠される一因と捉えられる。
お粗末な調整
対戦人口の減少が深刻だということは分かっていただけただろうか。
前世代でここまで人数を減らした原因は対戦環境の調整不足があげられる。
前々世代のポケモンX・Yで登場したメガシンカがインフレを加速させたと言われている。
特に問題視されたのがメガガルーラ(以下メガガル)である。
そのメガガルの危険度についてわかりやすく纏まっているサイトを記載しておく。
X・Y当時の環境は、メガガルの一強状態で他のポケモンを使う意義が皆無の状態であった。
他のメガシンカポケモンの調整も杜撰極まりなく、元から強いのにさらに強くしてしまったギャラドス、ゲンガー、メガシンカすると弱くなるガブリアス、ヘルガーなど問題点が多いシステムだった。
サン・ムーンでは流石にメガガルは弱体化したが、今度はカプ系・ミミッキュ・UBといった強めのステータスを持つポケモンが多く参戦し更なるインフレを起こした。
新システムのZワザは全てのポケモンが使えて一見すると平等に思える。
しかし、実際は強いポケモンが苦手な相手を強引に突破するための手段に使われた。
しかも、前世代で問題を起こしたメガシンカもほぼそのまま続投された。
ここにきて対戦環境はインフレを極めた。
これらを要因として対戦に飽きてしまうプレイヤーが続出。
環境末期にはパーティがほぼ固定化した言われている。
過度なインフレはゲームを破壊する。
メーカーが競技性を軽んじユーザー任せにした結果がこれだ。
eスポーツの隆盛
まず、日本eスポーツ連合による定義を以下に記載する。
「eスポーツ(esports)」とは、「エレクトロニック・スポーツ」の略で、広義には、電子機器を用いて行う娯楽、競技、スポーツ全般を指す言葉であり、コンピューターゲーム、ビデオゲームを使った対戦をスポーツ競技として捉える際の名称。
ゲームを競技として捉える風潮が浸透しつつある。
しかし、日本ではまだまだ発展途上の分野といえる。
ゲーム業界情報局による日本と世界のeスポーツ人口のデータが掲載されている。
現在、eスポーツの世界競技人口は約1億3,000万人にも登ります。
世界的に見れば競技人口が多く栄えているといえる。
世界と比べて日本の競技人口は圧倒的に少ない。
日本ではゲームに対する価値観の違いや賞金制度、スポンサー契約が不十分だったりとプロが活躍しづらい環境になっている。
でもこれはあくまで現在の話。
日本も数年先には海外に追いついていくだろうと予想している。
ポケモン対戦のeスポーツ化
では、ポケモンのことに話題を戻すとしよう。
このままではポケモン対戦はどんどんマニアだけのものになっていき衰退していくだろう。
その流れを断ち切るのに必要なことがポケモン対戦のeスポーツ化だと考えている。
まず、3値の見える化を行い外部のツールに頼らなくても3値の計算ができるようにする。
これまで興味のある人だけが対戦の世界に入ってくればいいという姿勢で開発されてきたが、その壁をなくしてしまうことで全プレイヤーに対戦への意識を向けさせることができるのではないか。
次に育成、対戦環境の整備。
一昔前と比べればポケモンを育てるための土壌は豊かになった。
対戦を促進させるためには更なる工夫が必要であると考えている。
それは、構築済みパーティの配布あるいは販売である。
メーカー側からのアプローチの一つとしてこの案を提唱する。
予め完成されたパーティを解説付きで配布すれば、対戦の面白さ、勝利の快感、パーティの組み方を手軽に体験することができる。
特にパーティの組み方を理解することは非常に大切だと考えている。
おそらく、ガチ対戦を普段からやっていないと戦えるパーティの組み方がわからないのではないか。
パーティの組み方がわからない
↓
適当に組む
↓
勝てない
↓
やめる
…という流れになりやすい。
勝利の喜びを体験させて続けさせることの重要性は、どんなゲームにもいえるはずだ。
TCG界隈で有名ないけっち店長も自身のYoutubeチャンネルで似たような意見を述べている。(3:25付近から)
ただ、無償でここまでやってくれるかはわからない。
もしかしたらダウンロードコンテンツでの販売という形になるかもしれない。
そうなってくると誰でも気軽に体験とはいかなくなってしまう。
パーティの配布とまでいかなくてもYoutubeで対戦講座動画などを配信するとかの活動はしてほしい。
そして、快適な環境づくりも必須である。
いつの時代も強いポケモンとそうでないポケモンがでてくる。
適度にメンテナンスを行い、あるポケモン一強状態にしないことで環境に流動性を作り出すことがプレイヤーを飽きさせないことに繋がる。
ポケモン対戦の未来とは
ここまでポケモン対戦の現状を語ってきた。
冒頭でも述べたとおり、現状維持では必ず衰退してしまうだろう。
ポケモンは対戦が全てではない。
対戦をしなくてもゲームを遊ぶ分には全く問題ない。
ポケモン自体は亡くならずとも対戦という文化は亡くなる危機に瀕している。
そう遠くない未来、eスポーツの文化は更なる栄華を誇るだろう。
その時、ポケモンが今のままではプレイヤーたちから見放されていくのではないか。
有志によって研究され続けてきたポケモン対戦。
これからはユーザー任せでは生き残れない。
メーカー側は時代に合わせたゲームの作り方とユーザーへの発信が必要だ。
最新作のソード・シールドでのランクマッチ参加人数は264,128人*4となっている。
9月に入ってからルールが刷新されて環境が大きく変わった。
6月に鎧の孤島配信からたった3ヶ月でのルール改正は思い切った行動といえる。
11月までに次のDLC冠の雪原の配信が予定されている。
新ポケモンの参戦とリストラされていた一部ポケモンの復帰も決定しているので、環境が動くのは確実だろう。
登場ポケモンのリストラといいルール改正といい、メーカーも対戦を盛り上げようと尽力していることが伺える。
ポケモン対戦の未来は絶望的ではない。
まだまだ希望が持てるはずだ。